これが日本最初の就業規則
石鹸製煉場規則
第1条
石鹸製造は、4月1日より9月30日迄午前8時取掛り、午後6時に至り全止、諸器械取纒め6時30分退社
10月1日より3月31日迄午前6時取掛り午後4時30分に至り全止5時退社のこと 但土曜日は平日より1時間早く止め一同大掃除致すべき事
第2条
各定勤の者亦は日雇の者に至るまで取締り掛り亦製煉方の差図に従い勉励致すべきは勿論若し行わざるこれあるにおいては取締掛より速に処分致すべき事
第3条
至急注文これある砌は第1条の限にあらず夜仕る事 午後9時限り亦は10時迄火の元疎漏これなき様精励仕るべく知慮之に当り手当つかわすべき事
第4条
各銘取掛の業これありといえども至急の時は業を譲り合睦み勤業致すべきこと
第5条
勤業中雑談は勿論煙草休間唱へ一同打寄り長ばなし厳禁ず
総て昼食小休共4月1日より9月30日限り昼食は午前11時30分より午後2時取りかかり申すべく小休みは午後3時30分より4時10分取りかかる事
第6条
原品類着手の砌御店向仕中亦は荷物持込人足も立会し取締差図役亦は製煉方の検査を経て現に量目其外とも粗略これなき様帳合いたすべき事
但御店向小僧並に車夫、軽子人足等に至るまで雑談申しかけ候儀一切相成らざる事
第7条
石鹸売捌の儀従前より差上来り候御店は格別新規に御荷車これあり候御万は其府県並に大小区駅町村番号に至るまで異細に記しおき寄寄売捌所に御案内仕るべき事
第8条
原品類買入れ亦は売払其外至急用談これあり外出候砌勤員日雇は勿論たとえ外廻りの者に至る迄本社亦は取締掛り詳細申しおき外出致すべき事
第9条
月に増し諸製煉向相開け候といえども他の製造品は石鹸のみならず何品にても誹謗致さざるの外ただただ我が業務に勉励いたすべき事
右の條々確守致すべきは勿論若し違背の輩は取締掛り日々厳に処分致すべき事
明治11年7月
石鹸製造所 堤
取締差図、製煉方
大 山 金 之 助
製煉方差図兼
岡 田 与 三 郎
形打頭目
堤 安 五 郎
公用掛
磯 川 時 次 郎
箱詰兼帯形打
安 室 伝 二 郎
箱方一式
手 塚 佐 七
削り方形打帯
堤 藤 吉
小用
福 田 浅 次 郎
森 市 五 郎
磨方
渡 辺 那 美 女
田 辺 満 佐 女
深 野 順 女